『はじまりへの旅』
森でサバイバルな生活を送るへんてこ家族。死んでしまった大好きなお母さんの最後の願いを叶えるためにおんぼろバスのスティーブに乗って都会へ旅に出た...
予告を見た時にカラフルな服を身にまとったワイルド系へんてこヒッピー家族のどたばたコメディなのかと思っていざ見てみたら、けっこうシリアスな感じでずっしりと深く考えさせられる映画で驚いた。
6ヶ国語を喋り、愛読書は古典文学や哲学書、自給自足の暮らしでサバイバルナイフを自在に操り、アスリート並みの体力を持つ子どもたち。
学校へは通わせず全て森の中で自らが先生となり学ばせるというかなり独特で偏った教育方針を持つパパだけれども、子どもたちはみんなずば抜けた身体能力や知識と教養を持ち、何事も自分の頭で考えて自分の言葉で話すことができる。
とはいえ子どもたちは家族というコミュニティしか知らないから、街へ行けば知らないことだらけ。アメリカ権利章典を暗記してその意義を自分の言葉で喋ることができたって、外の世界では無知な変人扱いされてしまう。
街へ出てからは子どもたちに無知による恐ろしさが襲いかかり、パパの強い信念をも揺らがせてしまった。
普通ってなんだろう。
でも現実を突きつけられた時、自分の間違いを素直に認めて異なる価値観を受け入れられる柔軟さを持っていたパパはとても潔くてかっこよかった。
これからもきっと大丈夫。
愛に溢れて温かく、前向きな気持ちになれる映画だった。